醸界通信2024年12月11日増刊号(TOPICS)


こうじ菌を使った「伝統的酒造り」 ユネスコ無形文化遺産に

 12月5日、パラグアイで開かれたユネスコ無形文化遺産保護条約第19回政府間委員会(以下、政府間委員会)で「伝統的酒造り」が、ユネスコ無形文化遺産への登録が決定した。日本からの登録は23件目。

 登録決定を受け、日本酒造組合中央会・大倉治彦会長、「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」・小西新右衛門会長、日本酒造杜氏組合連合会・石川達也会長は、「日本政府及び関係機関並びに関係者の皆様方に感謝申し上げます」として、それぞれ次のようなコメントを発表した。

 

 大倉治彦会長「日本各地の蔵元にはそれぞれ歴史があり、長い年月のなかで、各地で磨き、発展させた酒造りの技によって國酒が造られてきました。それは、地域の祭礼や年中行事に欠かせないものであり、四季折々の生活習慣や食文化に合わせて楽しまれてきました。私どもは國酒を知ることは日本の伝統文化に触れることだと思っています。

 

 「伝統的酒造り」は、古くは各地の杜氏集団によって継承されてきましたが、近年では、国税局、独立行政法人酒類総合研究所や公設試験研究機関の支援を受け、各都道府県酒造組合(連合会)を中心に技術の研鑽に努めています。これからも、次の世代へ確実に継承と発展を図って参ります。

 

 また、私どもは、このユネスコ無形文化遺産登録を機に、「伝統的酒造り」を支える地域社会の絆、自然環境への配慮、生活文化における役割に改めて思いを致し、関係者と協力して、国民の皆様に國酒の魅力を改めて認識していただくとともに、海外の皆様に一層知っていただくための各種事業を国内外で実施してまいります。そして、こうじ菌と人の技によって醸される國酒が、内外の皆様に愛され世界の食文化の多様性に大きく貢献することを願っています」。

 

 小西新右衛門会長「日本酒、本格焼酎・泡盛、本みりんを造る「伝統的酒造り」は、日本の恵まれた気候風土によって育まれた、こうじ菌を使う独特の技術です。日本人は1000年以上前から蒸した米の上にこうじ菌を育て、こうじ菌の働きを使って酒を造る知識と技を発展させてきました。後年、その醸造技術が、蒸留技術と出会うことで本格焼酎・泡盛が生まれ、本格焼酎とこうじが出会うことで本みりんが生まれました。

 

 「伝統的酒造り」によって各地で醸される酒は、祭礼、結婚式、通過儀礼、その他の社会文化的な機会に欠かせないものです。先に無形文化遺産に登録されている「能楽」や「歌舞伎」の中にも登場し、・・・


国税庁が「伊丹」を指定 18地域目の「清酒」地理的表示

 国税庁は2024年11月29日、地理的表示として「伊丹」(清酒)を指定した。

 指定概要・産地の範囲(兵庫県伊丹市) 酒類の産地に主として帰せられる酒類の特性=(①口に含むと、甘味や旨味からなるコクが広がるとともに、適度な酸味と苦味による余韻のキレが味全体に締まりを与えることにより、原料である米由来の甘味の中にきれいですっきりとした味わいが感じられる酒質。

 酒類の特性が酒類の産地に主として帰せられることについて=自然的要因①伊丹市は、六甲山、長尾山及び北摂山系の山々に囲まれた、猪名川と武庫川の間になだらかに広がる丘陵地であり、貝殻を含んだ粘土層と砂礫層が重なり合う特徴的な地層を形成している。これらの地層を通ることにより、適度なミネラル分を含む中硬水が供給されており、この中硬水により、もろみの発酵をほどよく促し、すっきりとしたのど越しの良い酒質が形成される。また、冬季に降水量が少ない瀬戸内気候であり乾燥していることから、破精込みが適度に進む麹造りを可能にしており、適度な甘味と旨味をたらしている。

 

 人的要因①伊丹における酒造りは、京都や奈良で行われていた僧坊酒造業とは異なり、商人によって営業化され、江戸市場を主軸に江戸積酒造業として発展した。麹米と掛米に高精白米を使用した「伊丹諸白」が、江戸の人々の好みに合った酒として台頭し始め、「丹醸」と呼ばれ江戸の人気を確固たるものにし、人気が高まるにつれ模造品が出回り始めたため、その対策として領主より各蔵に授けられた「伊丹御改所」と記した焼き印を用いて模造品との区別を図るなどの先駆的な取組みも見られた。また、木灰清澄法、柱焼酎の開発によって上質な酒を質を落とさずに江戸に送ることを可能にしており、これらの製法は形を変えながらも現在まで伝承され、これも相まって、酒どころとしての伊丹の名声が形成されてきた。

 

 酒類の原料及び製法=原料米には、国産・・・


「伏見地区の地下水保存」を 京都府酒造組と伏見酒造組が京都府・市に要望書提出

 JR北陸新幹線(敦賀・新大阪間)のルート3案が公表され、ルートによっては地下水への影響や地下水脈の遮断、井戸の枯渇まで懸念される事態となっている。

 

 このため京都府酒造組合連合会(大倉 博会長)と、伏見酒造組合(北川幸宏理事長)では12月2日、京都府内の酒蔵及び伏見地区の地下水に影響を及ばさないルートとなるよう、京都市・松井孝治市長、京都府・西脇隆俊知事に「伏見地区の地下水保存のための協力・支援」の要望書を提出した。

 

 要望書では、「我々京都府内の酒造業者のほとんどは、酒蔵内からくみ上げる地下水を利用して酒造りを行っており、その水質によって出来上がるお酒の品質は大きく影響されます。まさしく地下水とは「酒蔵の生命」といっても過言ではありません。そのため酒造業者にとって、地下水の保存、水質の維持は非常に重要な課題です。例えば伏見地区では、酒蔵が一致協力して、この地下水の保存に取り組んでいます。古くは昭和3年の旧奈良電鉄の地下鉄計画に対して、地下水に与える影響を調査し科学的な資料を持って、高架軌道へ変更していただいた経緯もございます。また近年では伏見地区での地下工事を伴う建築計画については、事前に設計者や施工業者と協議し、地下水に影響を及ぼさない工事を要請してまいりました。「酒蔵の生命」を守るため、現在も様々な活動に取り組んでいます。

 

 このような現況の中、北陸新幹線(敦賀・新大阪間)のルート3案が公表されました。東西案につきまして、京都市街地では北から南へ流れる地下水脈の遮断、井戸の枯渇、水質の変化まで危惧される非常時態であると認識しています。

 

 南北案につきましても、京都市街地の大深度地下利用による地下水への影響が懸念されます。例えば現在伏見の酒蔵が使用している井戸の深度は、40m~100mであり、想定される新幹線のトンネルの深度(40m以上)・・・


脱炭素への取組み強化 サッポロが「RE100」に加盟

 サッポロホールディングスはこのほど、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを一層強化するため、国際的環境イニシアチブ「RE100」(2014年に設立された、企業が自らの事業の使用電力を100%再生エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ。

 

非営利団体のThe Climate GroupがCDPとのパートナーシップのもとで運営している)に加盟した。サッポログループは2040年までに非化石証書を活用して、事業活動で使用する電力を、100%再生エネルギー化する。

 

 同社は、環境との調和を重要な経営課題と位置づけ、「グループ環境ビジョン2050」を策定し、2050年までに温室効果ガス排出量をネットゼロにし、使用電力を100%再エネ由来にする中長期目標を掲げている。

 

これまで、全事業拠点における省エネルギーの推進、国内外生産拠点での太陽光発電設備の導入、不動産事業における購入電力の実質再エネ化など、様々な施策を実施してきた。2024年3月には、2030年温室効果ガス排出削減目標についてSBTi(2015年にCDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)によって共同設立された国際的なイニシアチブ)。

 

企業が設定する温室効果ガス排出削減目標が、科学的根拠に基づいて世界の気温上昇を1・5℃未満に抑えるための目標となっているかを検証し、基準を満たす目標に対して認定を行っている)から認定を取得した。その中でもFLAG関連排出(FLAGは・・・


「福寿 復興の一滴(大吟醸)」720㎖100万円を5本限定で

 清酒「福寿」の㈱神戸酒心館は、阪神・淡路大震災から30年を迎える2025年1月17日、復興の象徴と祈りを込めた特別な日本酒「福寿 復興の一滴(大吟醸・英語名‥Memoriesof Tomorrow)」を、世界に向けて限定5本(100万円)を発売する。

 

 1995年に発生した阪神淡路大震災では、同社も甚大な被害を受けたが社員一丸となり、周囲の支援も受けて復興を果たした。

 

 「福寿 復興の一滴」(アルコール分17%、720㎖)は、震災を乗り越えた酒蔵としての想いを込めた特別な日本酒。日本一の酒米と称される兵庫県産山田錦を全量使用、長期間低温で熟成させることによって唯一無二の味わいが生まれた。時間が織りなす繊細かつ円熟味のある香味を備え、震災を乗り越えた神戸の歴史と共に歩んだ日本酒の真髄が感じられる。特別な5本にはシリアルナンバーが刻印されており、震災の記憶と復興の祈りを永遠に伝える証として特別な価値を提供する。

 

 売上の全額は震災学習や防災教育を目的とした活動に寄付する。

 神戸酒心館ホームページで12月10日から商品の案内と購入申込受付中・・・


サントリー「カクテルアワード24」神戸市の森崎 和哉氏が優勝

 サントリー㈱は11月22日、「サントリー ザ・カクテルアワード 2024」のファイナル(最終選考会)をサントリーホール小ホールで開催した。

 

 ファイナルは、多数の応募の中から2度にわたる事前審査を経た8名が参加。8名のうち3名が1st Stageを突破。2nd Stage審査では、その場で設定されたそれぞれの客のシチュエーションに合わせてカクテルを創作、フレキシビリティや創作意図などの審査を総合的に行い、優勝にあたる「カクテルアワード2024」には、森崎和哉さん(神戸市の「SAVOY hommage」勤務)が選ばれた。

 

 森崎さんが1st Stsge審査で創作した「てふてふ(テフテフ)」は、SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」やジャパニーズクラフトリキュール「奏Kanade〈桜〉」、「クレーム ド キョホウ〈巨峰紫〉」などをシェークしてカクテルグラスに注ぎ、ライムの皮などをデコレーションし、仕上げたカクテル。

 

森崎さんは「てふてふ」について、「『サントリー ザ・カクテルアワード』の30回記念大会、そして来年の大阪・関西万博開催という大きな節目を迎え、〝過去、現在、未来〟そして〝日本から世界〟を繋ぐ、新たな挑戦と祝福の思いを一杯のグラスに込めました。アワードの理念である『継承と革新』を味わいそのもので表現するとともに、喜びや新しい生まれ変わりのシンボルとして世界中で愛され続けている作品名でもある蝶の姿やカクテルアワードのロゴに込められた、昇る太陽のイメージを重ねたデコレーションを施しました」と・・・


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醸界通信2024年11月27日増刊号(TOPICS)


宝酒造インターナショナル 食材卸の独・カーゲラー社を子会社化し東欧・北欧の事業を強化

 宝ホールディングス㈱の子会社、宝酒造インターナショナルは、2024年11月19日の取締役会で、ドイツ・ミュンヘン近郊で食材卸売事業を行う「Kagerer&Co.GmbH(以下、カーゲラー社)」の出資持分90%の取得を決定した。

 

 宝ホールディングスグループは、2025年度(2026年3月期)を節目とした6ヵ年の長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th(以下、TGC100)の実現に向けた取り組みを進めており、Vision(ありたい姿)として「Smiles in Life~笑顔は人生の宝~」を掲げている。TGC100の総仕上げに向けて策定した「宝グループ中期経営計画2025」では、「成長・強化領域(タカラバイオグループ:試薬・機器事業の拡大、CDMO事業の拡充、創薬基盤技術の価値最大化)への投資を加速させ、企業価値を高める3年間」を経営方針として、宝酒造インターナショナルでは、北米、欧州での日本食材卸の拠点拡大を推進している。

 

 カーゲラー社は、米、調味料、和酒などの取り扱いに加えて、世界規模の調達ルートを持つ冷凍魚介類など水産品に強みを持つ食材卸として、ドイ・・・


運ぶ距離を短く・積載効率アップで台数減・待たせない サントリーの物流取り組み方針

 サントリー食品インターナショナル㈱は10月18日、サントリーロジスティクス㈱埼玉支店で同社の物流への取り組みと、「浦和美園配送センター」の見学会を行った。

 

 サントリーホールディングス㈱サプライチェーン本部・物流調達部 塚田哲也部長は、物流を取り巻く環境について「飲料はトラック輸送量が多く、国内清涼飲料の市場規模は20年前の約16億ケースから現在(2023年)は約18億ケースへと約15%増となり、サントリーは20年前の約2・8億ケースから現在は約4・5億ケースへと約60%増で、そのトラック輸送量は業界トップクラスと推定している。飲料は生活必需品の側面があるものの、他の食品業界と比べて製品の重量が重くて物量が多く、多くのトラックが必要、トラックが荷積み・荷下ろしする工場数は50~60ヶ所、配送センター・倉庫数は約200ヶ所、お届け先は約6000軒に上るが、労働基準法の改正によりドライバーの拘束時間は現在の年間3516時間は今年4月から3300時間へ、月間293時間、320時間まで延長可は4月から284時間、310時間まで延長可、などとなり、長距離ドライバーは稼ぎたくても働けなくなり、ドライバーの離職、事業者の廃業リスクが懸念され、ドライバーの働き方に応じた、荷主側の変革が不可欠であり、このまま対策を講じないと物流業界全体のトラックドライバーは30年には22年に比べて23%減少する」と説明。

 

 サントリーの物流取り組み方針として3つのポイント①運ぶ距離を短くする(これまでのエリアをまたいだ長距離輸送を、できる限りエリア内での製造・輸送を増やす)、②積載効率を上げて、台数を減らす(運びやすさも考慮した、積載効率が高い容器形状の商品設計)、③ドライバーを待たせない(走行以外での拘束時間(待機時間や荷下ろし、倉庫入れ、パレット積み替えなど)を上げた。

 

 こうした取り組みにより、美園浦和配・・・


既存得意先の取引拡大 外食関連需要回復で 24年9月期連結業績は増収増益

 加藤産業㈱の2024年9月期連結業績は、営業収益1兆1698億3400万円、前期比6・4%増、営業利益168億5600万円、同0・7%増、経常利益186億9700万円、同1・1%増、親会社株主に帰属する当期純利益は144億5900万円、同20・5%増の増収増益。既存得意先を中心とした取引増大、外食関連需要の回復による取引の増加などが寄与した。

 

 加藤和弥社長は11月8日の決算会見で、「当期は経費率が前年をやや上回ったが、営業収益等の伸びで吸収され、価格改定により売上高や売上総利益が伸び、中でも物量が落ちて、結果として経費が抑制できていたのがこれまでだったが、物量も少しずつ増え、24年問題なども含め経費についても上昇圧力が今後効いて来る」などと語った。

 

 事業別業績=常温流通の営業収益は7170億1500万円、同5・2%増となったが、高水準な賃上げの影響の伴う諸経費の増加により、営業利益は130億2900万円、同0・1%減。

 

 低温流通事業は営業収益1143億6400万円、同1・6%増、営業利益は12億8300万円、同28・2%増。

 

 酒類流通事業は営業収益2452億1100万円、同8・0%増、営業利益19億7400万円、同10・6%増。

 

 海外事業・・・


阪急うめ本店とサントリー 「ジョルジュ デュブッフ」で ボージョレ・ヌーヴォーウィーク開催

 「ボジョレー ヌーヴォー」解禁日の11月21日、大阪・梅田の阪急うめだ本店とサントリー㈱は、11月26日まで、同店地下1階の「ツリーテラス」で、サントリーが輸入販売する「ジョルジュ デュ ブッフ」の販売と有料試飲の「ボジョレー ヌーヴォー ウィーク」を開催した。

 

 今回はジョルジュ デュブッフ社取締役のアドリアン デュブッフ・ラコンブ氏(写真上)が来日、「ボジョレー ヌーヴォーのイベントは私の祖父が始めた。今年のボジョレーは春から夏にかけて雨が多かったが、その後の暑く乾燥した8月、穏やかな9月のお陰でぶどうは完熟し、収穫量は昨年を下回ったものの、濃いルビー色、例年以上のフレッシュさ、赤いベリーの果実味が口のなかで力強く弾むように活き活きと感じられる素晴らしい出来栄えとなった」と説明。

 

 同店では販売と有料試飲とともに、今年はボジョレー ヌーヴォーのワインバーも開設した。

 


ベトナムの卸売企業2社 日酒販が初の海外子会社化に

 日本酒類販売㈱(以下、日酒販)はこのほど、ベトナム社会主義共和国の南部に拠点を持つ卸売企業2社の発行済株式を各75%取得した。

 

 対象企業は、プロトレーダー㈱およびエルドラゴン㈱で、本社はベトナム・ホーチミン市で、販売エリアが異なる同一資本、同一拠点の2企業。

 

 今回の株式取得は同社創業以来初めての海外法人を対象としたもので、両社とも日酒販の連結子会社となる。

 

 ベトナムは、2023年に人口が1億人を超え、経済成長率はコロナ禍でもプラスを維持し、2024年第3四半期の経済成長率は前年同期比7・4%と回復が顕著となっており、今後2050年までに世界で最も成長が期待される国のひとつ。

 

 一方、プロト・・・


「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録で説明会 大阪国税局と❝保存会❞の小西会長

 「日本の伝統的酒造り」が12月2日~7日にパラグアイで開催される、ユネスコの第19回政府間委員会で「ユネスコ無形文化遺産」に登録される見通しになったことを受けて、大阪国税局では11月21日、説明会を開催、「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」小西新右衛門会長(日本酒造組合中央会副会長・小西酒造㈱社長)は、ここに至るまでの経緯を説明するとともに、「学識経験者、酒造組合、杜氏組合、文化庁、国税庁など関係機関などの支援を受けてここまできたことに心から感謝したい。ユネスコの無形文化遺産登録は、世界に目を向けるきっかけにするスタート」などと語った。

 

 「伝統的酒造り」は令和3年、「米などの原料を蒸すこと」「手作業で伝統的なこうじ菌を用いてバラこうじを製造すること」「並行複発酵を行っており、水以外の物品をしないこと」などを要件として、「書道」とともに国の登録無形文化財に登録された。保持団体は令和3年4月16日に設立された「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会」。

 

小西会長はこれまでの経緯について、令和4年3月には、ユネスコ事務局に無形文化遺産登録を提案したが、「日本は過去に提案が多く、2年に1度審査するということで認められず、令和5年3月に再提案し、今年6月と9月にユネスコ評価機関会合が開催され、11月に評価結果が公表され、12月2~7日にパラグアイで開催される政府間委員会で審議・決定される見込み」となったと説明。さらに同会長は「『伝統的酒造り』・・・


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醸界通信2024年11月13日増刊号(TOPICS)


10月のビール類販売数量 ビール類カテゴリーが1%増

 2024年10月のビール類市場は、昨年10月の酒税改正により減少した新ジャンルや発泡酒が増加し、前年比123%となった。

 

 アサヒビールは10月のビール類売上金額が前年比106%。累計では97%となった。「スーパードライ」ブランド計(「ドライクリスタル」を含む)の販売数量は93%。昨年10月に発売した「スーパードライ ドライクリスタル」の反動によるが、累計では前年を1%上回っている。「スタイルフリー」の販売数量は173%、累計では98%。「クリアアサヒ」は165%、累計では86%。

 

 10月のビール類以外の販売金額の前年対比は、洋酒114%、RTD139%、ワイン94%、焼酎131%。RTDは「贅沢搾り」の販売数量が118%となったのに加えて、4月2日から発売した「GINON」の累計販売数量が、当初の3割増に上方修正した年間販売目標400万箱の8割を超える322万箱となったことが寄与した。

 

 アルコールテイスト飲料の10月の販売金額は前年比132%。累計では125%。

 

 キリンビールの10月のビール類販売数量は市場を大きく上回る136%。発売35年目を迎えた「一番搾り」は店頭でのリニューアル活動や、販促の強化により、10月は110%。「スプリングバレー」ブランド缶は33%。「晴れ風・・・


サントリーグループが世界初 廃食油由来の「パラキシレン」使用のペットボトルを一部で導入

 サントリーグループは、使用済み食用油(廃食油)由来のパラキシレン(以下、バイオパラキシレン)を用いて製造(マスバランス方式。特性の異なる原料が混合される場合に、ある特性をもつ原料の投入量に応じて生産する製品の一部にその特性を割り当てる手法)したペットボトルを、11月以降、一部製品に順次導入する。バイオパラキシレンで製造されたペットボトルは、従来の化石由来原料から製造したペットボトルに比べて大幅なCO2排出量削減に貢献できるもので、商品への導入は世界初(2024年10月28日時点。ENEOS㈱、三菱商事㈱調べ)。

 

 今回の商品への導入は飲料用ペットボトルで4500万本分(280㎖、285㎖ペットボトル)にあたり、今後も拡大に向けて検討を進めていく。

 

 ペットボトル原料のPET樹脂は、30%が「モノエチレングリコール」、残り70%は「テレフタル酸」(前駆体が「パラキシレン」)で構成されている。モノエチレングリコールについては、その原料を植物由来素材(原料はフードチェーンに影響を与えない廃糖蜜由来の素材を使用)とし、2013年から「サントリー天然水」ブランドのペットボトルに導入開始するなど、かねてよりバイオ化に取り組んできた。今回は、より多くの割合を占めるテレフタル酸(パラキシレン)について、使用済み食用油(バイオマス資源)由来とし、実用化することに成功した。

 

 実現・・・


神戸農政公社「神戸ワイン」 白鶴酒造㈱に事業を譲渡

 一般財団法人神戸農政公社は10月7日、白鶴酒造㈱に「神戸ワイン」事業を譲渡する契約を締結、11月1日、神戸市役所で神戸市(経済観光局・椿野智弘局長(農政担当))、農政公社常務理事・福島国武氏、白鶴酒造・桜井一雅専務、同・森伸夫マーケティング本部長が共同会見を行った。

 

 事業継承日は2024年12月1日、事業譲渡額は3億9600万円(税込み)。農政公社は神戸ワイン用ぶどうの栽培支援および生産者からの買い取りを継続、白鶴酒造は神戸ワイン用ぶどうを原料としてワイン、ブランデー、リキュール等の製造・販売を行い、2025年からはワイン醸造も行う。

 

 会見で神戸市側は「神戸ワインの価値をさらに高みに押し上げてほしい」と語り、白鶴酒造・桜井専務は「神戸ワインの事業を継承し、神戸ワインを通じた農業振興への協力、神戸産ぶどうを100%使用した国産ワイン、国産ブランデーでの白鶴商品のポートフォリオ強化、『神戸ワイン(国産ワイン)』の輸出市場の開拓、販売チャネルの拡大に取り組む」などと語った。

 

 同社では、神戸産ぶどう100%の日本産ワイン、神戸産農産物、神戸・灘の日本酒で「神戸」を世界にアピールするコラボを展開、喫緊の取組みとして、ワイン醸造への挑戦、神戸ワインの国内外におけるブランド認知の拡大(大阪・関西万博他)、神戸ワイン、神戸ブランデー、リキュールなど商品ポートフォリオの再構成、醸造設備の見直し、設・・・


キリンビール50周年 キリンビバレッジ10周年三日月知事ら迎え記念式典

 キリンビール滋賀工場は、1974年(昭和49)5月に滋賀県犬上郡多賀町敏満寺でビール醸造を開始してから今年4月で50周年を迎えた。キリンビバレッジ滋賀工場は2014年(平成26)1月、京都府舞鶴市からキリンビールと同じ敷地内の現在地に製造拠点を変更し、ペットボトル入り清涼飲料水の製造を開始してから2024年1月で10周年を迎えた。

 

 10月23日には滋賀工場に滋賀県・三日月大造知事、多賀町・久保久良町長、彦根市・和田裕行市長ら来賓を招き、キリンビール滋賀工場50周年、キリンビバレッジ滋賀工場10周年を祝う記念式典を開催、三日月知事、久保町・・・


鹿児島県酒造組など4者 桜島で本格焼酎の貯蔵実験

 鹿児島県酒造組合、鹿児島大学、大隅河川国道事務所、鹿児島県の4者は連携し、大隅河川国道事務所が管理する桜島有村観測坑道(以下、坑道)に本格芋焼酎を貯蔵し酒質の変化を確認する、桜島有村観測坑道貯蔵焼酎実証実験(以下、実証実験)として、11月12日、鹿児島県酒造組合と鹿児島大学が観測坑道への入坑式を行った。

 

 実証実験には薩摩酒造、本坊酒造、小正醸造など13社が参加、鹿児島大学が工業技術センターの協力を得て、官能評価による酒質変化の評価を行う。

 

 酒造組合は参加蔵元と連携し、桜島のイメージアップや砂防事業への理解促進に資するイベント等で貯蔵焼酎を活用する。

 

 事業の試行期間は令和6年11月~令和9年11月。 有村観測坑道の目的は、桜島での砂防工事は、火口から半径2・0㎞の立入禁止区域周辺での作業も必要となっており、砂防工事に従事する関係者・・・


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醸界通信2024年10月23日増刊号(TOPICS)


9月のビール類市場は22%減 ビールが3ヶ月連続のプラス

 2024年9月のビール類市場は、昨年10月の酒税改正に伴う新ジャンルの増税前の駆け込み需要の反動に加えて、出荷日が1日少なかったこともあり、前年比22%の大幅減となったが、減税となったビールは4社合計で2%増で3ヶ月連続のプラスとなった。

 

 アサヒビールは9月のビール類売上金額が前年比81%、累計では96%となった。

 「スーパードライ」ブランド計(「ドライクリスタル」を含む)の販売数量が同95%。累計では102%と前年を上回っている。「スタイルフリー」の販売数量は9月66%、累計94%。「クリアアサヒ」の販売数量は9月59%、累計82%。

 

 ビール類以外の9月の前年比販売金額は、洋酒116%、RTD108%、ワイン76%、焼酎71%。RTDは、4月2日から全国発売した「GINON」の販売数量が当初の3割増に上方修正した年間販売目標400万箱の7割に迫る279万箱となった。

 

アルコールテイスト飲料(微アルコールを含む)は、売上金額が前年比125%となった。4月9日から全国発売した「アサヒゼロ」の累計販売数量は当初の2倍に上方修正した年間販売目標の達成目前となる114万箱となった。

 

 キリンビールは9月のビール類販売数量が前年比75%。1月からの累計では95%となった。ビールカテゴリーは好調が続き「一番搾り」は9月単月、累計ともに同102%。発売35年目を迎え、店頭でのリニューアル活動が奏功した。今年4月に発売した「晴れ風」の販売数量は、発売約6ヶ月で460万ケースとなり、上方修正した目標の8割を突破した。

 

「スプリングバレー」ブランド缶の販売数量は9月47%。「淡麗グリーンラベル」は62%、「本麒麟」51%。RTD計の販売数量前年対比は9月単月、累計ともに106%。新商品「ジンソーダ杜の香」「華よい」の発売も影響した。

 

 メルシャン社の9月のワイン販売数量は国内製造、輸入の合計で前年比80%。昨年10月の価格改定前の仮需の反動も表れた。

 

 キリンビバレッジの販売数量は9月・・・


キリンビール ”氷結mottainai”PT第2弾 高知県産「ぽんかん」を発売販売数量18万ケースを見込む

 キリンビールは、規格の問題で青果販売ができず、廃棄されてしまう「モッタイナイ果実」を〝おいしいチューハイ〟として有効活用し、フードロス削減に貢献するとともに、売上1本につき1円を寄付し果実農家の持続的発展を図る「氷結 mottainaiプロジェクト」を今年5月からスタート。

 

 10月7日には都内で第1弾の活動報告と、10月22日に発売する第2弾についての発表会を行った。

 発表会ではキリンビールマーケティング部「氷結」ブランドマネージャーの加藤麻里子氏が「プロジェクトでは、おいしいのに規格の問題で廃棄されてしまう〝モッタイナイ果実〟をおいしいチューハイとして有効活用し、フードロス削減に貢献しながら全国の皆様においしいチューハイとしてお届けし、売上1本につき1円を寄付し、果実農家さんの持続的発展につながる取組に活用していただきます。

 

お客様には飲むだけで、社会貢献につながるおいしいチューハイをお楽しみいただけます」と語り、第1弾の『浜なし』では、それまでの発売した過去3年間の『氷結』限定品で出荷実績1位、浜なしのフードロス削減約3万4000個、599万3296円の寄付を報告した。

 

 さらに活動の内容や成果が評価され、立ち上げから半年で酒類業界初の消費者庁・環境省主催・・・


サントリーウイスキー「美味品質」への取組の歴史 山崎蒸溜所で説明会開催

 サントリー㈱は10月8日、昨年、建設着手から100周年を迎えた山崎蒸溜所で、「サントリーウイスキー『美味品質』の取組」について説明会を開催、有田哲也工場長、サントリースピリッツ本部・ウイスキー部の大橋康弘課長、ブレンター室・吉弘 晃部長が「美味品質」の取組について語った。

 

 有田工場長は「山崎蒸溜所はこれまでは品質向上への取組の連続だった。1968年のパイロットディスティラリー設立、1980年代の設備改修、2006年の蒸溜釜更新、2013年の蒸溜釜新設、2023年にはパイロットディスティラリーを改修し、フロアモルティングを新設、目指す品質の実現に向けては決して手間を惜しまず原酒のつくり込み、様々な種類の麦芽や酵母、発酵槽や蒸溜釜、樽材など素材や形状の異なる設備を導入し、それら複数の要素を組み合わせる多彩な原酒のつくり分けにより、『美味品質』を追求し続け、角瓶やオールド、響、山崎など様々な製品を送り出してきた。100周年を迎えた昨年は創業者から受け継がれるウイスキーづくりの魂を感じてもらえるよう施設の改修などを行った」と説明。

 

 ウイスキー部課長の大橋康弘氏は、「2024年1~9月のウイスキー類の出荷金額が前年比111%と市場の110%を上回り、ハイボール缶も市場の102%を上回る104%で推移、2024年もサントリーが市場を牽引している。・・・


宝酒造インターナショナル 国内外2社を子会社化 海外の日本食材卸売事業を強化

 宝ホールディングスの子会社・宝酒造インターナショナルは、9月25日開催の取締役会で、①米国で日本食材卸事業を行う「ミューチャルトレーディング社」(カリフォルニア州)による、㈱築地太田(東京都:以下、築地太田)及びオータフーズマーケット㈱(同:以下、オータフーズマーケット社)の発行済株式の100%取得と、②英国で日本食材卸事業を行う「タザキフーズ社」(ロンドン)の100%親会社の「T.タザキ社」(同)による「アグリカ社」(フィンランド)の発行済株式の100%取得を決議し、株式取得を完了した。

 

 築地太田は、東京都豊洲市場内の鮮魚仲卸業者。オータフーズマーケット社は築地太田の輸出業務を担っており、ジャパンブランドの高品質な鮮魚を米国やアジアを中心に輸出している。2社を連結子会社とすることで今後も成長性が高い鮮魚の安定的な調達ルートを確保し、ミューチャルトレーディング社の販売ネットワークを活用することで、日本産の高品質な鮮・・・


「国際コーヒーの日」の10月1日 UCCとスカイマークが神戸空港で共同イベント

 神戸空港を羽田に次ぐ国内拠点とするスカイマーク㈱とUCCコーヒープロフェッショナル㈱は、10月1日の「国際コーヒーの日」に合わせて神戸空港で共同イベントを実施、神戸空港発のスカイマーク3便の各200人、計600人の乗客1人ひとりに「ワンドリップコーヒー」2杯分を贈った。

 

 スカイマーク㈱は全国ネットワークを活かし、就航地の素晴らしさを伝え、地域の人々の役に立ち、地域活性化と発展に貢献する「地域共生」を企業ミッションのひとつに掲げ、今年3月には新しい機内サービスのコンセプトを「空で味わう就航地」として、就航地にこだわった機内サービスを展開している。

 

 スカイマーク神戸空港支店長・朝倉亮平氏は「いつでもどこでも一人でも多くの人々にコーヒーを届けたいという神戸発祥のUCCさんの取り組みに賛同、今年3月から〝スカイマークコーヒーby UCC〟をはじめ、就航地に由来する飲み物の無料ドリンクサービスを行っている」と語った。

 

 UCCコーヒープロフェッショナル広域営業部取締役本部長・高木健治氏は「今回の取り組みはスカイマークさんの地域共生へのお・・・


サントリーと東京ガス 白州蒸溜所で固体吸収法でCO2の高純度回収に成功

 サントリーホールディングス㈱(以下、サントリー)、東京ガス㈱(以下、東京ガス)、東京ガスエンジニアリングソリューションズ㈱(以下、TGES)は、サントリー白州蒸溜所で、「固体吸収法」を用いたCO2回収実証試験(以下、同実証)を行い、蒸溜工程で発生する低濃度のCO2を99・5%の以上の高純度で分離・回収することに成功した。固体吸収法によるCO2の高純度回収の取り組みは国内酒類・飲料業界で初。

 

 今回採用した固体吸収法は、CO2の分離・回収のプロセスを約60℃の低温で実現できることが特徴。将来的には工場等で未利用の低温廃熱の活用により、同プロセスを低エネルギーで実現することが期待されている。

 

 同実証では、東京ガス・TGESが、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(以下、RITE)および三浦工業㈱(以下、三浦工業)と共同開発した小型のCO2分離・回収装置(以下、同装置)を使用している。同装置はRITEが開発した固体吸収材(CO2を選択的に吸収できるアミンを多孔質支持体に担持した固体材料。同実証では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業の採択を受けRITEが開発した固体吸収材を改良した新規材料を使用)を用・・・


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醸界通信2024年10月9日増刊号(TOPICS)

国税庁「伊丹」(清酒)をGI指定へ 「口に含むと甘味や旨味のコク」

 国税庁は、「酒類の地理的表示として伊丹(清酒)を指定する件(案)」に対する意見を10月18日まで募集している。

 

 伊丹(兵庫県伊丹市)の「酒類の特性」=口に含むと、甘味や旨味からなるコクが広がるとともに、適度な酸味と苦味による余韻のキレが味全体に締まりを与えることにより、原料である米由来の甘味の中にきれいですっきりとした味わいが感じられる酒質である。

 

 また、この地で醸造される本醸造酒・吟醸酒・大吟醸酒は、甘味、旨味および酸味のバランスがとれた、さらにキレのある酒質となる。

 

 「自然的要因」=伊丹市は、兵庫県の南東に位置し、六甲山、長尾山及び北摂山系の山々に囲まれた、猪名川と武庫川の間になだらかに広がる丘陵地であり、貝殻を含んだ粘土層と砂礫層が重なり合う特徴的な地層を形成している。これらの地層を通ることにより、適度なミネラル分を含む中硬水が供給されており、この中硬水により、もろみの発酵をほどよく促し、スッキリとしたのど越しのよい酒質が形成される。

 

 また、冬季に降水量が少ない瀬戸内気候であり乾燥していることから、破精込みが適度に進む麹造りを可能にしており、適度な甘味と旨味をもたらしている。

 

 「人的要因」=伊丹における酒造りは、京都や奈良で行われていた僧坊酒造業とは異なり、商人により営業化され、江戸市場を主軸に江戸積酒造業として発展した。

 

麹米と掛米に高精白米を使用した「伊丹諸白」が、江戸の人々の好みに合った酒として台頭し始め、「丹醸」と呼ばれ江戸の人気を確固たるものにし、人気が高まるにつれ模造品が出回り始めたため、その対策として領・・・


サントリーウイスキー「山崎12年」が「ISC24」全部門で最高賞に

 サントリー㈱の「山崎12年」は、9月26日、イギリス・ロンドンで開催された世界的な酒類コンペティション「第29回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC2024)」の授賞式で、全部門での最高賞「シュプリーム チャンピオン スピリット(Supreme Champion Spirit)を受賞した。

 

 今回「山崎12年」は、ジャパニーズウイスキー部門最高賞「トロフィー」の受賞に加え、全部門の「トロフィー」の中から傑出した製品1品だけに授与される「シュプリーム チャンピオン スピリット」を受賞し、同コンペにエントリーした全製品の頂点に立った。

 

 同賞の受賞は今回が初めてだが、サントリーウイスキーとしては昨年の「山崎25年」に続き2年連続の快挙となった。

 

 今回の受賞理由について審査員は、「山崎12年は全会一致でこの賞に選出された。味わいや、華やかな香りなど、一つ一つの要素が高い品質を体現しているだけでなく、それらを見事に組み合わせたブレンド力は、素晴らしいものです。ものづくりとその品質へ、ここまでのこだわりを感じることができるウイスキーは非常に貴重であり、今回、この賞・・・


サントリー食品 オセアニア市場の成長加速へ 豪州で清飲新工場が始動

 サントリー食品インターナショナルは、オーストラリア東部に位置するクイーンズランド州にある新工場で、9月18日から清涼飲料の製造を開始した。

 

 2025年7月には、オセアニア市場における飲料事業のさらなる成長加速に加え、伸長著しいRTDアルコール飲料という新たなカテゴリーへの挑戦に向けて、サントリー食品インターナショナル・オセアニア社と、サントリーグローバルスピリッツ社の協業開始を予定している。

 

 新工場敷地は17ヘクタールに及ぶ。オーストラリアで人気のエナジードリンク「Vエナジー」が最初に製造され、さらにサントリーグループの代表的なRTDアルコールブランド「-196」「カナディアンクラブ&ドライ」「ジムビーム&コーラ」などの製造も開始する。

 

 400億円超を投じたこの工場では50、000パレット以上の製品保管能力と、高速瓶ラインと2つの缶ラインで併せて18万缶/時を製造できる業界トップクラスの生産能力を有し、2025年には計40種類以上の清涼飲料と酒類飲料を製造し、サントリーグループ各国のサプライチェーンと連携した、流通の起点となる。

 

 同工場は、過去10年間における日用消費財の設備投資として最大級で、今後のサントリーの生産能力と事業範囲の拡大を見込んでいる。また、この工場建設により450人以上の雇用が創出され、建設期間中は2000人以上が採用され、今後も製造、流通、販売をサポートするために新たに160人の雇用を予定している。

 

 サントリー食品インターナショナル・オセアニア社CEOのダレン・フラートン氏は「オーストラリアにサントリ・・・


「原料米の安定供給に対する支援」(要望)を決議 九州本格焼酎協が通常総会開催

 九州本格焼酎協議会では9月25日、鹿児島市内で第81回通常総会を開催、「酒造メーカーに対する『原料用米の安定供給に対する支援』(要望)」を決議して閉会した。

 

 はじめに、多田 格会長が挨拶、「消費者の低価格志向、コロナ禍によるライフスタイルの変化、若者の酒離れ、コロナ禍で顕在化した課題への対応」などを指摘、「国内の酒類市場が厳しい環境であると予想される中、本格焼酎業界を発展させていくためには、伸びしろが大きい海外市場への輸出促進を中心とした販路開拓がこれまで以上に重要」と語り、「酒税制度」について、「本格焼酎・泡盛は我が国が世界に誇る食文化の真髄、麹文化の粋を集めた酒類であって、地域の生活、文化を通じて育まれてきており、まさに國酒として長年にわたり国の活動を支える税収の柱として酒税を負担し、我が国の歴史の中で大きな役割を果たしてきた。

 

ついては、國酒である本格焼酎・泡盛に係る酒税につき、歴史と伝統を持った酒造蔵元の存続を図るためにも軽減措置を講じていただくとともに、國酒としての本格焼酎・泡盛の本質や価値にふさわしい制度上の位置づけがなされるよう要望していく」と述べた。

 

 決議では、「農業の高齢化、若い世代の農家の減少による原料米への影響、日本の農地は分散化と小規模経営が・・・


「キリン シングルグレーン ジャパニーズウイスキー 富士」ISC24で「トロフィー」受賞

 キリングループのキリンディスティラリー㈱が製造している「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」が、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)2024」で、ジャパニーズウイスキーカテゴリーの最高賞となる「トロフィー」を受賞した。

 

 「キリン シングルグレーンジャパニーズウイスキー 富士 50th Anniversary Edition」は、富士御殿場蒸溜所が磨き続けた技術、こだわり、想いが詰まったウイスキー。貴重な操業開始当時の1970年代蒸溜の原酒から、3つのタイプ(バーボンタイプ・カナディアンタイプ・スコッチタイプ)のグレーン原酒を全て使用し、それ以降の1980・1990・2000・2010年代の各年代の原酒をブレンドしている。

 

長熟原酒由来の甘く複雑な熟成香と、未来を見据えて改良を続けてきた原酒の華やかな香りが見事に調和する美しい味わいが楽しめる。

 

 アルコール分52%、700㎖びん、税込み2万7500円。

 富士御殿場蒸溜所売店での販売は終・・・


都城地域の森林資源の育成で 霧島酒造と都城市・農林中金が連携協定を締結

 霧島酒造と都城森林組合(宮崎県都城市)および農林中央金庫(東京都・以下、農林中金)は9月20日、「都城地域の森林育成へのJ‐クレジット活用に関する連携協定」を締結した。今後、3者が連携してJ‐クレジット制度を活用し、森林資源の保全とカーボンニュートラルの実現を推進する。

 

 J‐クレジット制度は、森林管理等によるCO2の排出削減量・吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。今回の協定は、都城森林組合が創出した森林由来のJ‐クレジットを、農林中金を介して霧島酒造が購入し、事業活動におけるカーボン・オフセットに活用することで、CO2排出量の削減だけでなく、森林や水資源などの自然資本の維持・向上を目指すもの。

 

 近年、宮崎県では、森林所有者の高齢化や経費・労力の負担などにより、伐採後に再造林されない森林が増加している。これを受けて同県では「グリーン成長プロジェクト」を展開し、再造林率日本一を目標に掲げるなど、再造林対策を加速させている。

 

都城地域も、同様の課題を抱えており、都城森林組合は農林中金の協力のもと、再造林の低コスト化や民有林におけるJ‐クレジット創出を推進している。霧島酒造は今後15年で、合計7万tCO2を目標にJ‐クレジットの購入を進め、都城森林組合がその売却益を適切な森林管理・・・


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醸界通信2024年9月11日増刊号(TOPICS)


8月のビール類市場は7%減 酒税改正効果でビール好調続く

 2024年8月のビール類計の市場は、昨年10月からの酒税改正に伴う新ジャンル増税に対する駆け込み需要の反動もあり、前年比93%と見られるが、ビールカテゴリーは酒税改正以降好調に推移し、4社ともに前年を上回った。

 

 アサヒビールは8月のビール類計の販売金額が前年比94%、1月からの累計でも98%と前年を下回っているが、8月の「スーパードライ」計(ドライクリスタルを含む)の販売数量は同101%、累計でも103%と前年を上回っている。「スタイルフリー」の販売数量は8月95%、累計98%。「クリアアサヒ」の販売数量も8月75%、累計86%。8月のビール類以外のカテゴリーの前年比販売金額は洋酒111%、RTD163%、ワイン100%、焼酎79%。RTDは、「贅沢搾り」の販売数量が134%となったことに加えて、4月2日から全国発売した「GINON」や、8月27日から首都圏・関信越エリアで数量限定で発売した「未来のレモンサワー」が寄与し、7月に年間販売目標を当初の3割増となる400万箱に上方修正した「GINON」の販売数量は241万箱となった。

 

 アルコールテイスト飲料(微アルコールを含む)の売上金額は8月128%。「ドライゼロ」の販売数量が111%、「スタイルバランス」が140%と好調だったのに加えて、4月9日から発売した「アサヒゼロ」が7月に年間販売目標の60万箱を突破し累計72万箱となるなど好調に推移、年間販売目標を当初の2倍となる120万箱に上方修正した。

 

 キリンビールは8月のビール類計の販売数量が前年比97%で市場の93%を上回った。昨年10月の酒税改正以降好調が続くビールカテゴリーでは「一番搾り」が同107%。「晴れ風」は今年4月の発売以降好調を維持、発売5ヶ月で420万ケースを販売し、上方修正した目標の7割を突破した。「スプリングバレー」ブラン・・・


キリンビール ジュニパーベリー100%の「ジンソーダ 杜の香」発売 ❝甘くない❞RTD市場は拡大続く

 キリンビールは、新ブランド「KIRIN Premium ジンソーダ 杜の香(もりのか)」(7%、350ML缶、純アルコール量19・6g、500ML缶、同28g、オープン価格)を8月27日から新発売し、同日から700MLびん(45%)をキリン公式オンラインショップ「DRINX」および会員制生ビールサービス「キリンホームタップ」限定で発売した。

 

 同商品の発売について、マーケティング部RTDカテゴリー戦略担当・松村孝弘カテゴリーマネージャーは、「RTD市場は無糖商品の伸長や食中酒需要の定着などで昨年は2年ぶりのプラスとなり、酒税改正以降の販売規模はコロナ禍で伸長した2021年の水準を上回り、今年1~7月は前年比105%で推移。コロナ禍以降お客様の消費・生活に対する意識は〝シンプルさ”〝品質”〝本質的価値”〝必要性”を求めるようになり、RTDに対しても〝雑味のない・クリアな味”〝甘くない”〝食事に合う”という期待が高まっており、〝甘くない”RTD市場は1~7月で116%と好調に推移している。」と指摘、「甘くないRTDを飲用するお客様は2500万人以上いるのに対し、ハイボールなど原酒を使ったソーダを飲用する人は159万人にとどまっており、ユーザー拡大に大きな機会がある」と語った。

 

 また、現在のRTD市場について「原酒を楽しめる原酒ソーダ」はウイスキーハイボール中心で味の種類やブランドが限定的で、お客様は「味とかアルコールのレパートリー、ジンの缶は種類が少なく新しいのを飲んでみたい」などを期待しており、ポストハイボールはジンのライト化・ソフト化にチャンスがある」(同商品開発研究所中味開発グループ主務・茶木香保里氏)として、「同社では新しいRTDに期待されるキーワードの、スッキリ甘くない×本格的・こだわり×ピュアさ・癒し」に応えて、「KIRIN Premium ジンソーダ杜の香」を発売、〝スッキリ甘くない”味覚を原酒ソーダユーザーに留まらず、甘くない嗜好のRTD・全酒ユーザーに広く訴求」、8~12月までの年内で約60万ケース(350ML缶換算)の販売を目指す。

 同新商品・・・


サントリー食品 心身の不調を抱える若者向けに 「menphys」PTを開始 セルフケアドリンク2品を発売

 サントリー食品インターナショナル㈱は、8月23日から、人に言いづらい心身の不調や悩みを抱える若者に向けて、身近な存在の飲料を通じて、前向きな一歩を踏み出すきっかけをつくる「menphys(メンフィス)プロジェクト」を開始した。

 

 「menphys」とは、「Mental(心)」と「Physcal(体)」を組み合わせた造語。

 

 同社では23日、都内で「menphysプロジェクト」開始に伴い、プロジェクトサイトで若者のリアルな声をまとめた「若者ぶっちゃけ健康白書」を公開し、第一弾商品としてセルフケアドリンク2種「menphys GABA&アルギニン&亜鉛」「同 GABA&大豆イソフラボン&鉄分」を、8月27日から公式オンラインストアで発売するとともに、心身の不調や悩みに気づき、食事を通じてセルフケアを始めるきっかけをつくる「~悩み事から注文するカフェ~CAFE’menphys」を8月30日から9月1日の期間限定で東京・下北沢でオープンした。

 

 同社では23日、都内でプロジェクト発表会を開催、常務執行役員・佐藤晃世氏は、「『若者ぶっちゃけ健康白書』では、半数を超える人が日常的に〝身体の悩み〟を感じていることなどが明らかになったが、『若者』が抱えている〝女性特有のイライラ期が辛い”〝男性としての自信が持てない”〝髪の毛のボリュームが気になる”〝すぐ肌に出てしまう”など心身の不調・悩みは健康診断でもわかりづらく、比較的体力もあり、見過ごしがち・我慢しがちであり、プロジェクトでは〝心とか・・・


マイクロブルワリーを開設 「SAKE」の新たな可能性求め

 白鶴酒造は9月5日、酒造資料館内にマイクロブルワリー「HAKUTSURU SAKE CRAFT(ハクツル サケ クラフト)」をオープン、メディア向け見学会を開催した。

 

 マイクロブルワリーは酒造資料館の一角、37㎡の小規模ながら洗米、浸漬、蒸米、麹造り、醸造、圧搾、瓶詰、火入れ(加熱殺菌)までをワンストツプで完結させる機能を誇る。来館者はガラス越しに醸造設備や発酵中の醪を見ることができ、タイミングがよければ酒造りの様子を見学することができる。

 

 同社では2023年4月、「醸造事業部」を開設、同社グループ(桃川、梅錦、櫻酒造など)への醸造指導、グループ内の醸造技術者の人材育成、そしてマイクロブルワリーの事業化などを目指す。マイクロブルワリーでは、ミニマムスケールで酒造りを行い、得られた知見・技術を活かし新たな「SAKE」の可能性を追求する。

 

 マイクロブルワリーは杜氏1名(伴 光博氏)、専任蔵人の能地亮輔氏と兼任蔵人若干名で運営する。発酵タンクは300L(米100㎏相当)2基を擁し、もちろん麹室も設置。

 

 8月30日には初仕込みを行っており、初しぼりの日本酒「HAKUTSURU SAKE CRAFT №1 純米大吟醸白鶴錦」を秋の酒蔵開放で有料試飲と販売を予定しており、以降、定・・・


大阪・梅田に❝職住の大都市❞ 「グラングリーン大阪」(うめきた第2期)がオープン

 9月6日、JR大阪駅北側の再開発街区「グラングリーン大阪(うめきた2期)がオープンした。大阪駅を中心とする梅田エリアは鉄道の乗降客数や商業売上高で東京に次ぐ。新大阪駅や関西空港とのアクセス向上を見込み、2023年には2031年の「なにわ筋線」開業に向けた大阪駅の新ホームも開業している。

 

 グラングリーン大阪は、南北街区で9・1haに及ぶ敷地の半分を占め、地区面積の約3分の1には約320種(在来種270種)を含む高・中木約1500本による緑の空間を形成している。

 

 6日のまちびらきではこの都市公園をはじめ、商業施設「グラングリーン大阪 ショップ&レストラン」(公園内施設・北館の20店舗)、中核施設「JAM BASE」、ヒルトン系ホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」など全施設の約4割がオープン、来年春には南街区の複合ビルが開業し、2027年度に全面オープンを予定している。

 

 グラングリーン大阪の総事業費は2013年に先行開業した1期地区の「グランフロント大阪」と合わせると1兆数千億円に上ると見られている。

 

 11万3000㎡の供給を予定するオフ・・・


UCCが発売 BMIが高めの人向けに日本初の機能性表示食品 「Healthyスペシャルブレンド」

 UCC上島珈琲は、「コーヒー由来トリゴネリン」により、BMIが高めの人の安静時のエネルギー消費の向上をサポートする、日本初の機能性表示食品「UCC&Healthy スペシャルブレンド」(ワンドリップコーヒー4袋入り、オープン価格)を9月2日に発売した。

 

 UCCは、1969年に設置した品質管理部門を起点に、50年以上の長きにわたり、コーヒーが持つさまざまな可能性を追求してきた。2023年にはUCCサステナビリティ指針で掲げる目標の一つに〝コーヒー×健康〟分野での目標を加え、世界中の人々の健康に貢献するため、研究開発・製品開発をさらに進めている。これまで、ポリフェノールの一種であるコーヒー由来クロロゲン酸類が食後の血糖値の上昇を抑える作用や、食後の血中中性脂肪が高めの人の食後の血中中性脂肪の上昇を緩やかにする作用など、さまざまな可能性を探求してきたが、今回、最新の独自研究で、コーヒー生豆に多く含まれる「コーヒー由来トリゴネリン」という成分が、BMIが高めの人の安静時のエネルギー消費の向上をサポートすることを見出した。

 

 「コーヒー由来トリゴネリン」は、コーヒーに多く含まれ、焙煎するほど少なくなる成分。U・・・


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